ハーフパイプ

ハーフパイプの基礎知識

テレビなどで見るハーフパイプはとても高いエアでくるくると回転している姿が印象的ですが、ゲレンデの斜面をすべれるようになったら誰でも楽しめるアイテムです。

ハーフパイプに入るのが初めての人にもわかりやすく、楽しめる手順で紹介していきます

ハーフパイプの基本知識

オリンピック競技でもあるハーフパイプは「高いエアができる上級者たちが使うもの」と思っている人もいるかもしれませんが、ゲレンデのカベ遊びのように気軽にチャレンジできるアイテムです。

リフトに乗ってゲレンデをすべれるようになったらぜひトライしてみましょう。

初めはハーフパイプのボトム部分からエントリーするといいでしょう。

ハーフパイプ各部名称

リップ

ハーフパイプのカベから空中に飛び出すポイントです。

バーチカル

カベの上部分で垂直になっている部分です。

アール

バーチカルとボトムを緩やかな斜度で結ぶカベの下部分です。

ボトム

ハーフパイプの底の部分のことです。

カベ

バーチカルとアールを合わせた総称です。

レギュラースタンスの場合ハーフパイプ上部から見下ろして右側がフロントサイド、左側がバックサイドと呼ばれています(グーフィースタンスは逆です)。

プラットホーム

リップの外側の平らな部分です。

バックサイドドリル

ハーフパイプはゲレンデ内の自然の地形にはあまりない特殊な形をしています。

初めて入る時は、その形に慣れることから始めましょう。

ここでは「木の葉落とし」をハーフパイプの中でするドリルを紹介します。

最初は谷側を向いたバックサイドドリルです。

振り子のようにスピードをつけることができたら、カベの上まで上がっていくことができます。

バックサイドドリルの手順

ボトムではしっかり腰を落とした基本姿勢をとり、ボードの中心に乗ることを意識してすべりましょう。

腰と肩のラインをハーフパイプのアールと平行にしたら立ち上がり、目線をリップに送ります。

カベを上り切ったところで顔だけ振り返るように、進行方向をテール側に切り替えます。

ボードの中心を意識して両足でしっかりと踏み込みます。

後傾にならないように一気にすべり下りましょう。

次のカベへ目線を送ります。

オーバースピードにならないようにボトムでしっかり調整しましょう。

体がボードの中心に乗っている状態でしっかりとボードを踏み込んで、リップに目線を送りましょう。

ボードと体を垂直に保ったまま、立ち上がり、カベを上がっていきます。

カベを上り切ったところで振り返るようにノーズ方向を向いて進行方向を変えます。

肩と腰のラインをアールに合わせて、低い体勢で一気にボトムまですべり下ります。

ポイント1

初めはハーフパイプのボトム中央からスタートしましょう。

ハーフパイプの形に慣れてきたらスピードを付けてスタートするドロップインというテクニックの練習をするといいでしょう。

ポイント2

カベに近づいた時にボードと体が垂直に保つことができなければ上半身だけがカベに近づいて、カベを上る前に失速したり、手をついてしまう原因となります。

体はボードと垂直に保ちましょう。

フロントサイドドリル

バックサイドドリルでハーフパイプの形に慣れてきたら、次はフロントサイドのドリルに挑戦しましょう。

フロントサイドはずっと山側に体を向けているので動きが小さくなってしまいがちですが、目線をしっかり進行方向へ向けて基本姿勢をキープすることを意識しましょう。

バックサイドドリルとフロントサイドドリルのどちらもバランスよくすべれるように練習しましょう。

フロントサイドドリルの手順

基本姿勢を意識しながら山側を向き、ツマ先側のエッジですべります。

目線はリップへ向けましょう。

肩と腰のラインをカベに対して垂直に保ち、リップを見続けながら立ち上がります。

カベを上り切ったところで振り返るように、目線をノーズの方向に向け、進行方向を変えます。

ボードをアールに合わせてすべらせ、しっかりとボードの中心を踏み込み一気にボトムまですべります。

ボトムでは次のカベへ目線を送り、カベが近づくまでにしっかりスピードを調節しましょう。

重心を低くして次のカベに備えます。

頭からおしりのラインをボードの中心に乗せるとすべりが安定します。

アールに入ったら立ち上がり上半身がカベと垂直になるようにバランスをとります。

カベを上り切ったら重心をボードの中心に置いたまま、顔をテール方向に向けて方向転換します。

ボードをしっかりと踏み込み、目線をボトムに向けたら体の軸をアールに合わせてすべり下ります。

目線が下がったり猫背にならないように気をつけましょう。

ポイント1

フロントサイドは谷側が見えないため、縦にまっすぐ上ってしまいがちです。

これではスピードが減速してしまうので、斜め後ろ側へ上り下がるように角度をつけたライン取りをしましょう。

ポイント2

背中側に進んでいるため猫背になって目線が足元へ向かってしまうパターンが多く見られます。

ボトムにいる時はリップに、カベに上ったら空中へと目線を先に送りましょう。

インリップターン

ハーフパイプの動きを理解するために、次はハーフパイプの中でターンをしてみましょう。

基本的な動きはゲレンデで行なうカービングターンと同じです。

これをハーフパイプの地形にあわせて行ないます。

最初はスピードを抑えて練習し、慣れてきたら徐々にスピードを上げていけるようにしましょう。

基本のターンができるようになればリップを抜けて高く飛べるようになるのもすぐそこです。

インリップターンの手順

目線をリップに向け、基本姿勢からさらに腰を落とした低い姿勢で、ボードの中心に重心を置きます。

立ち上がりながら、カカト側のエッジでカベを上ります。

カベと体を垂直に保つよう意識します。

カベを上り切る所で前肩を進行方向の谷側へ回します。

ボードが横を向いて方向転換していきます。

ボードが回転したら、ツマ先側のエッジに乗り替えてボードを踏み込み、ボトムまで一気に下ります。

ボトムまで下りたら次のカベへ目線を向けます。

基本姿勢を保ち、スピードをコントロールしましょう。

目線をリップへ向け、ボードの中心に体重が乗っていることを意識しながらカベへ向かってすべっていきます。

カベを上り始めても怖がらずにボードをしっかり踏み込みましょう。

カベと体を垂直に保ちます。

カベを上り切ったところでツマ先側のターンと同じように前肩を背中側へ開きボードが回るきっかけを作ります。

ボードがカベを下り始めたらカカト側のエッジへ乗り替え、ボードを踏み込み、目線をボトムへ向けます。

腰を落とした基本姿勢をキープします。

ポイント1

ハーフパイプのカベを上る時は、カべと体が常に垂直になるように意識しましょう。

スピードや角度に恐怖心がある場合は低いカベでゆっくりターンをするところから始めましょう。

ポイント2

ターン編のカービングと同じようにターンの入り口と出口でエッジを使い分けます。

これができるともうエアターン(空中でのターン)の習得はすぐそこです。

エアターン

インリップでターンができるようになったら次はエアターンにチャレンジしましょう。

エアターンはリップから飛び出し、空中でターンをして、ハーフパイプの中に着地する基本トリックです。

いろいろなトリックに挑戦し、完成度を高めていくうえで必ず必要となります。

そのため、ここでしっかりと体の動きをマスターしてハーフパイプのステップアップにつなげていきましょう。

フロントサイドエアターン

ツマ先側のエッジを使いながら基本姿勢でアプローチします。

カベに体の軸を合わせ猫背にならないように体を起こしてリップに向かいます。

カベに対してボードをフラットにしたままカベを抜けていきます。

空中でボードを引きつけ、体をコンパクトにして安定させます。

ボードが落ち始めたら目線を着地点へ向けます。

ハーフパイプのカベに体の軸を合わせ、なるべくカベの高い位置に着地します。

両足のカカト側のエッジでしっかり踏み込みます。

基本姿勢に戻ったら次のカベへ向かいます。

ポイント

空中に飛び出したらボードを引きつけて体勢をコンパクトにします。

あとは着地点を見るだけでボードが回り、ノーズから降りることができます。

あわてずに着地を待ちましょう。

バックサイドエアターン

腰をしっかり落とした基本姿勢でアプローチします。

カベに対して垂直になるように体を起こします。

カベに対してボードをフラットに保ったままエッジを最後まで使い、リップを抜けていきます。

体はひねらずにまっすぐ飛び出し、上半身を引き上げます。

エアのピークでボードを引きつけ、上体を安定させます。

ボードが落ち始めたら着地点を確認し、目線を送ります。

体の軸をカベに合わせ、なるべくカベの高い位置に着地します。

体の重心をボードの中心に戻します。

ポイント

ボトムにいる時にはリップ、カベにいる時にはリップから放物線を意識した空中へ、空中では着地点へというように自分がこれから行こうと思っている方向へ目線を向けるようにしましょう。

ドロップイン

ドロップインはプラットホームからハーフパイプにアプローチする方法です。

ドロップインができるようになれば、アプローチ直後からスピードをつけられるのでいろいろなトリックにつなぐことができます。

ハーフパイプの途中からエントリーすることも可能になります。

ハーフパイプの形に慣れ、エアターンができるようになったらドロップインにチャレンジしてみましょう。

バックサイドのカベから

プラットホームのリップ脇のラインをすべり、ツマ先側のエッジに軽く重心を乗せ、ボードを踏みます。

小さくオーリーをかけ、パイプへ体を倒しこみます。

体の軸をカベと垂直にします。

プラットホームでターンをしながらドロップインするとボトム方向へ飛び出し、カベから離れてしまうので注意しましょう。

ドロップインでつけたスピードを維持したまま次のカベに向かいます。

ポイント

プラットホームから軽いオーリーをきっかけにパイプの中に入っていきます。

体が立ったままだとボトムまで落ちてしまうので、体の軸をカベと垂直に合わせましょう。

フロントサイドのカベから

少しカカト側に荷重をかけた状態でプラットホームのリップ脇をアプローチします。

ボードを踏み込み、軽くオーリーしましょう。

リップから、前肩を斜め前方向に落とし込み、体の軸をカベに合わせます。

パイプに入ったらバックサイドのターンをするようにボードを踏み込んでいきます。

ポイント

フロントサイドのカベからのドロップインは背中側にカベがあり、失敗すると危険なので、最初はリスクの少ないハーフパイプの終わりなど、カベが低いところから始めましょう。

アーリーウープ

ハーフパイプにはいろいろなスピントリックがありますが、山側の方向に回転するアーリーウープは低いエアでも回しきることができるので、ハーフパイプ初心者にも挑戦しやすいトリックといえます。

最初から高いエアを目指すのではなく、ボードをドライブをさせながらボードを回す感覚を身につけましょう。

飛び出す方向と回転方向に気をつけて動きを覚えていきましょう。

バックサイドアーリーウープ

腰を落とした基本姿勢でアプローチします。

エアターンをするようなラインをとり、縦に入り過ぎないように注意します。

カベと体の軸を合わせ、飛び出す方向へ目線を向けます。

リップでは踏み切らずに、上半身を背中側に開いて肩のラインをリップと平行にし、ボードがリップを抜けるまで待ちましょう。

ボードが完全に空中に出たらボードを引きつけます。

ボードが回転しながら落ち始めると着地点が見えてきます。

カベと体の軸を合わせて着地します。

体重をボードの中心に乗せ目線を進行方向へ戻しましょう。

基本姿勢に戻して次のカベへ向かいます。

フロントサイドアーリーウープ

基本姿勢をとり、フロントサイドのカベにアプローチします。

カベと体が垂直になるような軸を作りましょう。

ボードがリップを抜けるタイミングまで低い姿勢を保ちます。

後ろの肩を背中側に引っ張り回転を先行します。

軸がぶれてしまうので無理に回さないようにしましょう。

空中でボードを引きつけたら着地点が見えてきます。

目線を着地点へ向け、カベと体のを合わせます。

ボードをカベに合わせて着地します。

ボードの中心に体重を乗せ、両足で踏み込みます。

基本姿勢へ戻したら次のカベへ向かいます。

ポイント1

回そうという意識が強すぎて、リップを抜ける手前で踏み切ってしまう人が多く見られます。

そうしてしまうと上に飛ばずボトム側にはじかれてしまいます。

ボードがリップを抜けるまでしっかり待ちましょう。

ポイント2

カベにまっすぐ入ってしまうと失速したり、飛び出した時にボトム方向にはじかれてしまいます。

大きな弧を描くように斜めのラインでカベに入ることを意識すると、高さと距離が出るようになります。

360(スリーシックスティ)

レギュラースタンスでフロントサイド方向に回転していくフロントサイド360とスイッチスタンスからアプローチしてフロントサイド方向に回転し、レギュラースタンスで着地するスピントリックのキャブ360です。

放物線を描くようにエアターン全体の流れに合わせて回転していくのが理想的です。

先行動作、ボードの引き付け、着地の重心に気をつけて練習しましょう。

フロントサイド360(スリーシックスティ)

基本姿勢でボードを踏み込みます 。

カベに対して体軸を垂直にし、飛び出す先へ目線を向けます。

ボードがリップを抜けるまで待ち、後ろ肩を前に押し出し回転を先行します。

後ろ肩を前に出したら前肩を背中側に引きます。

空中では両足を引きつけるとエアのピークでボードが上半身に合わせて回転します。

着地点を確認したら残りの回転でボードを合わせます。

着地点のカベに体の軸を合わせます。

体が遅れないようにボードの中心に乗り、スイッチスタンスのまますべりましょう。

ポイント

フロントサイドスリーシックスティはスイッチスタンスの着地になります。

後傾になりバランスを崩しやすいので着地ではボードの中心に荷重して、両足でしっかり踏み込みましょう。

キャブ360(スリーシックスティ)

スイッチスタンスでアプローチします。

スイッチスタンスでボードをコントロールできないとレギュラースタンスよりもカベの上のほうへ上ることが難しくなります。

意識的に後ろ足に多めに重心を乗せ、しっかりボードを踏み込みます。

リップの先の空中に目線を向け、リップまで姿勢をキープします。

胸から前に飛ぶイメージで前の肩を後ろに引いて回転を先行します。

空中でボードをしっかり引きつけたら上半身に合わせボードが回転し始めます。

着地点を確認したら、カベにボードを合わせます。

レギュラースタンスでの着地になるのでしっかり両足でボードを踏み込みましょう。

次のエアに向け体勢を整えます。

ポイント

スイッチスタンスに慣れていないと、アプローチでカベを上る力が少なくなるため、リップから高く飛ぶことができません。

しっかりとボードを踏み込み、少し重心を後ろ足に乗せるように意識しましょう。

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